その収集癖「ためこみ症」かも? 若年で発症、加齢で“ごみ屋敷”になる恐れも…

 自分が好きな本や衣類などを必要以上に集めて捨てられず、家にあふれて生活できなくなる「ためこみ症」という病気がある。近年、精神疾患の一つとして注目され、薬やカウンセリングなどの治療にも根気が要るという。病気と自覚しないまま中高年になると「ごみ屋敷」になる恐れもあり、本人と周囲の早めの気付きが大切になりそうだ。


 ドアを開けると、玄関や廊下、部屋に天井まで段ボールが積まれていた。昨夏、福岡市内の賃貸マンション。訪れた九州大病院精神科神経科の溝部太郎医師(30)は「これは、かなりの症状だ」と驚いた。


 ここに1人で暮らす60代女性は、段ボールをいろんな店で譲り受けて集めていた。浴室や台所にも積んで住めなくなり、同科でためこみ症と診断され入院。溝部さんら医師の訪問調査を受けた際は、「何かの役に立つから」と答えた。


 病院側は女性と相談し、まず無料でもらったものや人に譲るために集めたものを処分対象とした。1週間のうち2泊3日で本人が自宅に戻り、片付けるたびに写真を撮って見せてもらうことに。その都度、褒めて励まし、約3カ月で床が徐々に見えるようになった。


 病室に滞在したことで「これが普通の部屋なんだ」と気付けたのも大きかった。溝部さんは「漏電による火災の恐れもあった。本人には価値のある物だから勝手に捨てられない。自分で片付けるよう意識を変えるのが難しい」と語る。

つづく

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190526-00010000-nishinpc-sctchより