知られざる「南新宿」の世界 小田急で2番目に乗降客が少ない駅

小田急電鉄が公表している最新の乗降客数(2017年度)を見ると、1位は新宿駅で、1日あたり50万6229人。この数字は、2位の町田駅の29万2579人を大きく引き離して圧倒的トップです。


 一方、このデータを下から見ていくと、全70駅中70位は小田原線の足柄駅(神奈川県小田原市)で3917人。この駅は終点、小田原駅のひとつ隣であり、利用客の少なさもなんとなくうなずけます。そしてさらにさかのぼって69位を見てみると、意外な名前の駅がランクインしていました。一体どんな所か気になり、実際に現地に赴いてきました。


 この日、私はJR新宿駅の甲州街道改札を出て、国道20号(甲州街道)を渡り、小田急電鉄の新宿駅に向かいました。


 改札をくぐり地下1階のホームから各駅停車に乗り込みます。発車後ほどなくして、「本日も小田急をご利用いただきありがとうございます。各駅停車、本厚木行きです」と自動アナウンスが流れました。続いて「まもなく南新宿です」と放送されると、電車は速度を上げないまま、最初の停車駅である南新宿駅に到着しました。


 種明かしですが、今回の目的地、つまり小田急線内乗降客数69位の駅は、ここ、南新宿駅です。2017年度の1日あたりの乗降客数は4024人で、最下位の足柄駅とトントンです。ちなみにどちらの駅も、列車は各駅停車しか停まりません。


 南新宿駅で下車したのは、ほかに4人。みな足早に改札へと向かっていきました。残されたのは筆者(蜂谷あす美:旅の文筆家)と、そして静寂でした。あの新宿駅から800mしか離れていないというのが、何か冗談のように思われます。

つづく

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190519-00010003-norimono-bus_allより