リニア建設を阻む静岡県――川勝知事の「禅問答」がもたらす、これだけの弊害

 2027年の開業を目指してJR東海によって建設が進められているリニア中央新幹線だが、ここへ来て通過する静岡県部分の着工がストップするという事態に陥っている。地元・静岡県の川勝平太知事がリニア建設への協力の「代償」を要求するなど、現時点での着工に新たな条件を要求しつつあるからだ。


 このリニア中央新幹線のルートと静岡県の関係だが、地図の上では県の突端部を「かすめる」だけとなっている。だが、県としてはこの部分に建設予定の、南アルプスを横断するトンネルが大井川の水系に影響を与えるほか、地元では工事車両の通行など負担を強いられるとしている。そこでJR東海は、トンネルからの湧水を大井川へ戻すための導水路トンネルを造るといった対策を、静岡県に対して具体的に提案している状況だ。そこへ改めて追加の「代償」が要求されたというわけだ。


 川勝知事の発言はその都度変化しており、現時点では具体性を欠いている。ある時には、「代償としては中間駅を建設する場合の平均額ぐらい」という目安が示されたことがあった一方で、「南アルプスに値段をつけるなどとんでもない」などという言い方で要求を曖昧にしたこともあった。


 川勝知事は、日本を海洋国家と規定して、文明論を交えた「比較経済史」を論じてきた元学者の知事であるから、禅問答のような交渉方法に県民は慣れているのかもしれない。もちろん「静岡県」としての利益を最大化するのが政治家としての仕事ではあるから、知事の考え方には一定の妥当性があることも否定できない。だが、工事を計画通り進めたいJR東海としては困った事態となっているのは揺るぎない事実だ。


 そんな中で、こんな解説もある――。川勝知事の「真意」としては、県がかねて要求していた東海道新幹線における静岡空港新駅の設置を「交換条件」として狙っているのではないかということだ。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190725-00000024-zdn_mkt-bus_allより